昇段レポート

 

●公認審査会 長澤一成

(2009年2月15日)

「伝承、ムラマサ!!」

 

1年前の公認審査会終了後、主席師範から「来年は君たち(旧四段)の番だ!」というお話があり、「昇段審査は自分にはまだ早いが、50人組手に挑戦したい!」と思いました。そのためには、これまで以上に稽古をし、基本・型・補強も全てこなした上で連続組手に挑戦しなければ価値はない、と考えました。それが、極真の歴史を創ってきた方々への礼儀でもありました。

10年前、30人組手に挑戦したときは、「選手から空手家への変換期」と考え、試合で使っていた技と足掛け下段突きを多用し、それまでの集大成のような組手を目指しました。
さて、今回の50人組手では“どんな戦い方をしよう”と考えたとき、“ワルツのような滑らかな動きがしたい”と思いました。マット上を歩くように組手をし、ステップワークと体捌きだけで相手を制し、一撃で決める・・・。そんな優雅で華麗な空手を体現したいのです。

◆◆◆

昨年7月から、審査会に向けて本格的な稽古を開始しました。主席師範に教えていただいたことを思い出しながら、この10年間で一番稽古しました。
年末、疲れのピークで、本番を想定した「スパーリング100ラウンド」を決行しました。先生想いの可愛い弟子たちが、ガンガン向かってきてくれました。こちらもムキになって蹴り返していたら、足の骨を2箇所も折ってしまいました。
10月には左手も骨折していたため、私の組手のベースとなる「左正拳」と「右ロー」が使えなくなってしまいました。力と技に頼ってきた私は、すぐにリタイアを考えました。

「試合なら棄権するだろうけど、武道に延期はないだろう」、「無謀な挑戦をして、恥ずかしい結果に終わるかもしれない」等々、いろんな想いが頭を巡りました。大石代悟主席師範の弟子として、どうすべきか。道場を任され先生と呼ばれる者は、どうあるべきか・・・。
道場生の誰もが、それぞれのステージで頑張っています。こんな私でも、応援してくれる人がいます。信じてくれる人がいます。そして、貫きたい“想い”があります。
悩んだ挙げ句、「結果はどうあれ、困難に立ち向かう」と決めました。

肉体的には過去最高に弱い自分が、「ムラマサ魂」だけを武器に戦うことになりました。
審査会までの1ヵ月半は補強しか出来ず、不安ばかりが募りましたが、久しぶりの組手はとても楽しみでもありました。やはり空手が好きで、組手がおもしろいのです。

「弱いところは見せたくない」という気持ちで戦い抜きました。絶好調はありません。何事も思い通りにならなくて当たり前です。勝敗が大事なのではなく、自分で納得できる組手がしたいのです。
対戦者全員に、必ず強い一撃を返しました。最後に頼れるのは、力でも技でもなく、心だけだと感じました。

◆◆◆

四半世紀に亘り、極真空手と共に歩んできました。道着の胸の「極真會」への想い。空手の夢である「一撃必殺」への憧れ。人生の師である大石代悟主席師範への尊敬と感謝。今では、頭の天辺から足の爪先まで、極真空手が染み付いています。

空手は武道です。武道精神とは、自己の確立、無我の実現、奉仕の精神です。私にとっての「ムラマサ魂」とは、“自分を貫く”ことです。“自分に打ち克つ”、そんな空手を目指したいと思います。

大石代悟主席師範、大石道場関係者のみなさん、いつも温かく見守っていただき、ありがとうございます。
極真で良かった。大石道場で本当に良かった。私は、良い師、良い仲間に恵まれ幸せ者です。空手を通じて、多くの人に幸せになってもらいたいと思います。

これからも、ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。 押忍